音楽が人生に寄り添うということ

2026年10月15日 19:36

今年も台風や大雨によって、各地で大きな被害が出ています。被災された方々のことを思うと、心が痛みます。

この時期になると思い出す兄弟がいます。

もうずいぶん前の事です。5歳違いの兄弟で、弟がまだ幼稚園の年長さんだった頃のことです。二人とも4歳の頃からレッスンに通ってくれていました。

そんな兄弟が、突然お父様を亡くすという、とても悲しい出来事がありました。

そのことを私が知ったのは、いつものようにレッスンにやって来た兄弟からでした。
お父様が亡くなられて、まだ数日も経っていない頃です。

あまりに突然のことで、驚き、言葉を失ったことを今でも覚えています。

後日、ご自宅に伺った際、お母様からお父様の音楽に対する想いを聞かせていただきました。

お父様は音楽が大好きで、子どもたちの発表会をいつも楽しみにされていたそうです。

そして、

「これから先、子どもたちが辛いことや苦しいことに出会ったとき、音楽が心の支えになってくれたら」

そんな願いを持っていらしたこと。

だからこそ、これからも長く音楽を続けてほしいと、お母様は話してくださいました。

その言葉は、今でも私の心に深く残っています。

それから兄弟は、長い年月、音楽を続けてくれました。

お兄ちゃんは大学受験を迎えるまで。

弟くんは地元の大学に進学し、卒業して就職するまで。

特に弟くんは、ピアノだけでなく、ギターやパソコンを使った曲づくりにも興味を広げ、自分なりの音楽の楽しみ方を見つけていきました。

就職してからも、時折その様子を知らせてくれたことを嬉しく思っています。


音楽には、さまざまな力があります。

努力を積み重ねる力、集中する力、自分を表現する力。

でも、それだけではありません。

嬉しいときには喜びを大きくし、疲れたときには心を癒やし、言葉にならない気持ちにそっと寄り添ってくれる。

そんな力も音楽にはあると思うのです。

兄弟にとって音楽がどのような存在だったのか、そのすべてを知ることはできません。

けれど、長い年月をかけて音楽を楽しみ、自分の世界を広げていった二人の姿に、お父様の願いがつながっているように感じます。

音楽は、レッスンを卒業したら終わりではありません。

大人になっても、その先の人生の中で、ふと心を支えてくれる存在であってほしい。

あの秋の出来事と、ご家族の想いは、私が音楽を教え続けるうえで大切にしていることを、今も思い出させてくれます。

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